【本】大東亜戦争の実相@瀬島龍三
戦後60年、憲法を変えて戦争に行こうとする人たちと、憲法はゼッタイ変えずに世界のどこで戦争が起きようと日本は知らんもんねー、というある意味典型的な今の日本人の思想像それぞれに対し、著者瀬島龍三さんは何を語られるだろうか。
それにしても戦争遂行機関、帝国大本営の中枢(陸海軍参謀)に居た瀬島さんが本誌で語る戦史は、冷静沈着で客観的事実として今まで見聞きしたそれとだいぶイメージが違いすぎていることに驚く。「大東亜戦争」という名称は、戦争の大義名分を表す大東亜共栄圏建設を目指すための戦争という名称ではなく、単に当時の地域呼称に基づいて大東亜地区で行う戦争、ということで決めたのだという。決めた機関に居た人が語ってるのだからそうなのだろう。きっと。あと、アメリカとの開戦にいたる経緯は、あらゆる平和解決のためのオプションを実行していった過程について私たちはほとんど何も知らされていないことを改めを実感する。特に戦時内閣首班であった東条首相兼陸軍相でさえ、開戦直前「まだだ!外交5、戦争5で行け」と最後まで外交解決の可能性を探っていたことなど意外だった。
著者瀬島龍三さんは、戦後、日本の経済界にも尽力された方のようだが今もご存命なのだろうか。本書の最後で語られている7つの教訓など、歴史認識を改めさせるだけでなく国家が戦争を回避するためのエッセンスが凝縮されており示唆に富んだ内容。途中、あまりに淡々と戦争遂行中の史実を語られる部分は興味をそがれる部分もあったが、アメリカとの開戦経緯については圧巻、最後まで読んでよかった。
最後に、もっと日本人が日本人の誇りと世界平和のために語り継がなければならないこととして、1853年のペリー来航から明治維新の頃までの国際情勢、そして日清日露戦争、支那事変、満州事変、日米戦争までの国際緊張関係を軸にした戦争史観があり、それを東アジア全体で共有しなければならないと思ったりもするが・・・難しいよなぁ。特に日本の大陸政策の必要性とか。。
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