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【経過】鹿児島市立川上小学校全学年ドラムサークル

・2008年10月20日(月)~22日(水)各日09:50~ 10:50~45分間
・川上小学校体育館にて
・ファシリテーター:森田孝一郎
・参加者合計:約550名の子どもたち+先生方

 1年生から6年生まで各学年単位で45分づつのドラムサークルを3日間に渡り6回実施しました。カオス(混沌)が常体である低学年から、音楽的素地と反抗期手前の高学年まで連続で実施できるドラムサークルは、今回で通算100回を越えるドラムサークル実施歴ではじめてのことでした。予想通り、大変示唆に富む3日間となりました。

<<初日>>10/20(月)
・1年生約90名
 予定より5分早く子どもたちが元気よく体育館に入ってきて、いきなりドンチャカドンチャカ、ドラムカオス(混沌)の状態がはじまりました。周囲の状況など関係なく勝手気ままに音を出しまくる時間帯です。この状態からこの1年生ドラムサークルは、「一体感づくり」だけに焦点をしぼることにしました。
 すると、ある程度、状況を理解してきた子どもたちが少しづつ周囲の音に合わそうという意識が出始め、自分だけでなくみんなで一緒に叩くことの楽しさをわかってくれていたようでした。
 このようなドラムサークルでは、子どもたちの集中力は30分が限度なのですが、なぜか今回の子どもたちは、全然叩き足りない様子で時計を見たらすでに終了予定時刻を過ぎ、叩き始めから55分(09:45~10:40)も叩きっぱなし、という非常に稀有な状況をかもし出したドラムサークルでした。長時間叩きっぱなしでも子どもたちの様子から倦怠感を感じなかったことは、子どもたちなりに、その時間を楽しんでいたのかもしれません。
 私自身がおしえられることが、通常のドラムサークル以上にたくさんあり、写真撮るのも忘れて、没頭してしまいました。

081020kawakamisyou008 ・2年生約90名
 1年生が終わり、その場の散乱した事態収拾に一時呆然となってしまいましたが、体育館の外では、2年生がいまいまかと待っていましたので、気合を入れなおして楽器を整理整頓し、2年生を迎え入れ、ドラムカオスがはじまりました。状況からして2年生も「一体感づくり」だけに焦点をしぼることにしましたので、みんなで止まり、みんなではじめることをわかってもらうため、一斉に音を止めて再開させる「ストップカット&ゴー」をしつこく繰り返し行いました。するとさすがに1年生よりは理解が早く、一体感だけじゃない次の何かを希求している様子が伺えたので、風や嵐、雨、雷の音や、鳥、カエルの鳴き声など自然界の音を楽器で再現するサウンドスケープ、全体を4つのチームに分けてリズムの役割を担わすゲームなど行いました。しかし、「一体感」が十分に充足しきれていない状態で違うアクティビティを導入してしまったため、各アクティビティの楽しさを十分味わいきれなかったかもしれません。特に静寂の心地よさをもっと感じさせてあげたかったです。

<<2日目>>10/21(火)
・3年生約90名
081021kawakamisyou005  時間通りに入場してきた3年生の子どもたちは、最初不安げな表情でしたが、全体リズムがうごめき始めると、だんだんと安心感のある笑顔に変わっていきました。途中、ストップカットしたときに一人でベースドラムをたたきはじめた、障害を持つ(と思われる)お友達のリズムに、みんなが反応し次の全体リズムが生まれていったのは大変感動的でした。自分だけでない「全体の輪(和)」を子どもたちが感じた時間帯でした。この時間帯はみんなが楽しんでいる状況が長く続き、そのながれに任せ、25分間楽しくたたき続けました。
 その後いくつかのリズムアクティビティ、ゲームなどを楽しみ、エンディングにもっていきましたが、終わっても終わってもアンコールが来るように、全然叩き足りない様子でドラミングを促されました。また次回がありますように。。

・4年生約90名
 081021kawakamisyou017_2 さすがに、4年生となると3年生以上に、場に対する理解度が伸張し、25分にわたりドラムコールを楽しみながら、ストップカットやボリュームアップ&ダウン、マーキングなどシンプルなファシリテーションキューを十分に理解した様子が伺えました。その後、ちょっと疲れた様子だったので、太鼓の革をさすってもらいながら、風の音、嵐の音、そしてアンビエント楽器(特殊楽器)を使った雨の音、波の音、鳥やカエルの鳴き声で自然界の様子を創造してもらいました。ひとつひとつ自然の音が加わる度、子どもたちの表情が豊かな創造の喜びに満たされていくようでした。そのままそのイメージを膨らませられるよう森林のリズムを想像できるようなレイヤーイン(音の重ね合わせ)で全体リズムをつくっていきました。手渡しで、楽器を交換させて、よりメロディックなリズムへ移行していく変化を楽しんでもらいました。静かな音の心地よさを感じていたようでした。

<<3日目>>10/22(水)
・5年生約90名
 最終学年の5年生、6年生をドラムサークルに迎えるにあたり念頭に置いたことは、子どもたちの自由と自主性を最大限に尊重しようと言うことでした。前日、全体の統制を図るに有効だった黒板への注意書きは「みんなの気持ちをひとつにしよう!」だけに留めました。
 時間通りに入場してきた5年生の子どもたちは、ものの5分で全体リズムが生まれると、そこからドラムコール終了まで、自分達が自ら作り出す一体感のあるリズムを十分堪能しているようでした。そしてチームワークづくりのシーケンスでは、途中で目をつぶるというアレンジを加えました。このとき全員が一体となって音をパスしながら、全体の調和を維持しようという意思が共有された、とても素晴らしい時間帯でした。
 終わっても、やはり全然叩き足りない様子でした。また次回がありますように。

・6年生約90名
 081022kawakamisyou003 6年生は、初日に搬入を手伝ってくれたこともあり早くたたきたくてうずうずしている様子でした。ドラムコールがはじまると、そんな抑制から開放された6年生は、金管バンドの子どもなど、音楽に素地のある子どもの生きたリズムが全体を引っ張っていき、すぐに全体リズムがうごめきだし、一体感づくりは短時間で完了、もっとたたき続けていたい全体意思を感じましたが、あえて限られた時間でより多くの事象を体感してもらったほうが良いと考え、そのままチームワークづくりのスキームに移行し、とても奥深いスピルチュアルなコミュニティミュージックを堪能した後、即興音楽づくりを楽しみ、サウンドスケープから沈静化のエンディングまでほとんどノンストップであっと言う間の50分、子どもたちも先生達も一緒になって、なんともいえない爽快感と達成感を味わえたエンディングでした。

【最後に】
 2日間にわたる私自身の経過学習から、最終日の5年生、6年生が一番コンディショニングされたドラムサークルが提供できたと思われますが、初日の1年生、2年生たちによるドラムサークルこそ、ドラムサークルが学校現場に必要とされるアクティビティであることを実感させる大変示唆に富むドラムサークルでした。ドラムサークルは、「個」と「全体」の意識が調和の取れていない場を意図的に用意し、その違和感から調和への課程を短時間で感じさせることができる稀有なアクティビティであることを確信しました。

※ 当方のドラムサークルブログでは、参加者様、クライエント様への配慮から表層的な内容しか掲載していません。
※ クライエント様向けには、各セッションスキームごとの各アクティビティ選択の目的と内容、そしてその結果(生徒さん、利用者さん達の変化)など、より詳しい実施報告書をあげています。

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