【共楽】第2回九州ドラムキャンプ IN 霧島
・第2回九州ドラムキャンプ IN 霧島
・2008年3月22日(土)23日(日)
・霧島国際音楽ホール(みやまコンセール)及び霧島高原国民休暇村シンフォニーコテージにて
・ゲストファシリテーター:石川武
・実行委員会:森田孝一郎(実行委員長/DCカゴシマ)、ひのぴー(宮崎DC)、まりりん(熊本DC)、福ちゃん(熊本DC)、マミータ(福岡DC)、ウォーリー(DCカゴシマ)、ガメラ(DCカゴシマ)、サリー(DCカゴシマ)、シンバ(DCカゴシマ)、アッキー(DCカゴシマ)
・参加者、関係者総勢45名
昨年3月の第1回九州ドラムキャンプ IN 阿蘇から丁度1年。今回、北は千葉県、南は沖縄まで、そして宮崎県三股町の知的障がい者音楽団体のカーニバルの皆さんの参加があり、大変充実した2日間となりました。
【1日目】
09:00 地元鹿児島のDC(ドラムサークル)スタッフと、前日入りして湯ったりしていたDC福岡のマミータ、九州ドラキャンの火付け役、宮崎DCのひのぴーが現地入りして、打合せ後、会場準備に入りました。途中、森田が東京からお越しになるゲストファシリテーターの石川さんと一般参加者のお2人を鹿児島空港にお迎えに行き、会場に到着すると熊本DCのまりりんも到着しており、スタッフ全員と一部早く到着した参加者も交えランチミーティング。
12:00 受付開始、予想以上に皆さんお早目のご到着で、ドラムコール開始までちょっと間延び感がありました。1時間の受け入れ時間をどう楽しんでもらうかが事前準備として不足していました。
12:45 ドラムコール開始(担当ファシリテーター:森田)
間をもてあましてしまい、ほとんど待ちきれずに予定より15分ほど早くドラムコール(説明無しに自由に叩いてもらって参加者の状態を観察するドラムサークル)を開始しました。どうしてよいかわからず右往左往している参加者の皆さんをドラムサークルにどんどん招きいれながら、「ようこそ、いらっしゃいました。目の前にある太鼓でお好きにどうぞ」という気持ちを表情とボディランゲージでファシリテートしました。参加者は3割がDC経験者、7割がDC初体験という構成。3割のDC経験者がパルスとグルーブをキープしてくれました。このドラムコールでは、ストップカット、ボリュームアップ&ダウン、ランブル、スカルプティングといった支配的ファシリテーションキューでDC全体をまとめていきました。しかし、過去に参加者の40名全員が知的障がいを持つ方のDCをファシリテートしたことがありましたが、今回知的障がいを持つ参加者が健常者の中に混在する状況はボク自身はじめてだったので、その緊張感からか、ボク自身が、物理的経過時間を遅く感じてしまうというタイムマジックに陥ってしまいました。もう40分ぐらいやっただろうと時計を見たときには、まだ15分しか経っていませんでした。これははじめてDCファシリテーションをバンド仲間で練習したときと同じ感覚でした。充実したDCだと、その逆で、30分ほどしかやってないつもりでも実際は1時間ほど経過していたりします。
でも、だんだんとみんなの表情がにこやかになり、DCの状況を参加者個人、DC全体と読み取れる余裕が出てくると時間がサーッと過ぎていきました。なんとか最初の仕事を終えて、ホッ。。
13:45 オリエンテーション(ファシリテーター:森田)
九州ドラムキャンプスタッフとゲストファシリテーターの石川さんをご紹介し、参加者全員に簡単に自己紹介してもらいました。そして2日間の日程の概要を説明。すでに参加者全員がお友達になったような気分になっていました。
(休憩)
14:15 ドラムサークル(ファシリテーター:石川さん)
ゲストファシリテーターの石川武さんによるDC。ランブルだけでDCをファシリテートする冒頭が圧巻でした。その音のエンパワーにひきつけられ、最初のドラムコールのときより、参加者全員がDCの輪を意識して音を出しているのが感じられました。
(休憩)
15:30 DCファシリテーション体験(ファシリテーター:石川さん) ストップカット、ボリュームアップ&ダウン、ランブル、スカルプティングといった基本的なファシリテーションキュー(合図)について、石川さんの解説を交えながら、参加者それぞれにDCファシリテーションのキュー部分だけについて体験してもらいました。見てると簡単そうですが、これがなかなか一筋縄ではいかない代物。でも失敗を実際に感じる見る楽しさがあり、ファシリテーターを実際にやっている参加者にも大変勉強になる時間でした。しかしながら、数あるファシリテーションキューは、ファシリテーターがDCを支配するものではなく、参加者を楽しませるものであることや、ファシリテーションキューを出すタイミング(トランジションポイント)についてはここでは触れていないこと、しっかり補足しました。
16:45 シンフォニーコテージへ移動(ファシリテーター:ガメラ)
17:00 チェックイン後、温泉入浴(ファシリテーター:シンバ)
19:15 食事(ファシリテーター:まりりん)
食事は1日目の夕食、飲み会のオードブル、2日目の朝食、昼食と4食全て騎射場の超人気店able deliさんのケータリングを利用させていただきました。独自のスパイスとハーブを使った洋風自然食で、温泉あがりの冷たいビールで乾杯し、大変おいしくいただきました。
20:00 ナイトインドラムサークル(ファシリテーター:石川さん)
食事を終えた人から順次、ナイトインドラムサークル会場のコテージに移動し、いつのまにか怪しげなうたとともにナイトインドラムサークルがはじまっていました。もうすでにこの頃は、参加者同士が昼間のDCはもちろん、一緒に温泉に入り、一緒にビール飲んでごはん食べてもう家族同然の雰囲気。ナイトインDCの参加者が増えるに従い、お互い譲り合いながら場をつくっていくという参加者自らがセルフファシリテーターとなっていることが感じられました。
実際のナイトインDC自体も、ほとんどノーファシリテーション。参加者自体が受身でなく次々にDCに変化を求め、その求めに応じた変化を参加者自体がつくっていく、理想的なドラムサークルに近いドラムサークルになりました。クロージングでボクがファシリテーションしたクラッピングDCもかなりみんなの気持ちがひとつになって、それによる音のうごめきが感じられました。
21:45 夜学(ファシリテーター:サリー)
ナイトインDCを終えたら、全員でサーッと片付けて(異常に早かった・・・)すぐに夜学と称する、飲み会に突入。主催者側も一応のビール、ワイン、焼酎、ソフト類と先述のable deliさんのケータリングオードブルなど用意させていただきましたが、参加者の皆さんが持ち寄った全国各地の銘酒、珍味の数々で大豪華なDC飲み会に。DCの話、音楽の話、仕事の話など、話は尽きず、とても初対面同士の集まりには思えないのもDCのおかげ。そして最後はカーニバルのサポーターOさんのギターとうた、東京からの一般参加Pさんの太鼓とうたによる昭和フォークソング大合唱大会で盛り上がりは絶頂点に。
0:30ごろお開きだったでしょうか。。後は各部屋で二次会に。。寝たのは2時ぐらいかな。。
【2日目】
07:00 起床
07:30 朝食
以降、順次片づけし、みやまコンセールへ移動。
2日目はあいにくの大雨。移動と片付けにかなりな手間を要すと判断。モーニングドラムサークルを30分遅らせて開始することに。
09:30 モーニングドラムサークル(ファシリテーター:九州ドラムサークルの面々・・・)
コテージの片付け、チェックアウト、最終確認などを済ませて09:45ごろ会場につくとなんと、カーニバルのメンバーがどんどんジャンプインしてモーニングドラムサークルをファシリテーションしているではありませんか!ストップカット&ゴー(全体を止めてはじめるファシリテーションキュー)だけのシンプルなシーケンスですが、それを繰り返すたびに全体がどんどんグルーブしていきました。
そしてボクは時間を見て、全体をcloseさせるのに、前夜の飲み会で「場を和ますアイスブレークが無かった」という指摘に応え、その時点で十分、場は和んでいたのですが、さらに和ますため変なポーズストップと変な顔ストップでさらに場を盛り上げ、モーニングドラムサークルをcloseさせました。もう参加者全員の笑顔が、クライマックスに向けて走り出しているようでした。
(休憩)
10:30 DCファシリテーションのイノベート体験(ファシリテーター:石川さん)
もっといろんなDCを体験してもらおうと、それまで2重の輪だったDCを1重に組み替えてシェイカーをリズムに合わせて次々にお隣に渡していくシェイカートスゲームをしました。「とって~渡して、とって~渡して、落ちてもゼッタイひろわない♪」自然とうたが出ました。輪に入りたがらない障がいを持つ参加者がサポーターの方と2人ぽつねんと輪の外にいたので、ボクはその2人の間に入って3人でシェイカートスしました。隣の人のシェイカーをとって隣に渡すことに最初は戸惑っていた障がいを持つその参加者が、声を出してうたうにつれて笑顔がほころんでいくのに、ボクの気持ちが癒されるのを感じました。
次にバリエーションとしてサウンドシェイプのスティックトスをやり、東京からの参加者の言いだしっぺでイノベーションゲームがはじまりました。これは、参加者各人の革新的なシェイカーの振り方を真似たり(カーニバルの皆さんの独創性に脱帽!)、グループに分かれて新しいリズムゲームを考え、発表してそのよいところをほめ合ったり、大変刺激的な時間帯でした。
12:00 昼食
みんなで食べる最後の食事。すでに名残惜しそうに各所で連絡先の交換がはじまりました。
会場内では叩き足りない参加者達によるドラムセッションがはじまり、ボクはこの1年間密かに練習していたソプラノサックスを吹きました。リズムから感じ取れたシンプルなメロのリフをひたすら繰り返し、そのリフにはまりそうなスケールで超シンプルなアドリブを交え、吹きまくりました~。楽しかったです~♪気持ちよかったです~♪
13:00 ドラムサークル for 霧島(ファシリテーター:石川さん)
石川さんの発想で、ファイナルDC前のDCは、参加者全員がジャンプインするDCにすること、このDCがなんとなくはじまってからそうなりました。健常者はもちろん、障がいを持つ参加者(全盲含む)も全員です。過去のDC体験有無も含めこの2日間のそれぞれの感じたDCが、そのジャンプインファシリテーションに見事に反映され、ボクを含む実際のファシリテーターたちに大変新鮮な驚きと感動を与えてくれました。こんな体験は九州ドラムキャンプでしかできないものと自負できる時間でした。こんなすばらしいDCをボクが最後、closeさせたのですが、今ここにいる全員の鼓動をひとつにするイメージのclosing に涙した参加者もいました。
14:15 振り返り(ファシリテーター:森田)
事前計画では、グループ分けして模造紙にこの2日間で感じたことを思いもいに書き連ね、それをマッピング化するファシリテーショングラフィックの手法をとろうと考えていましたが、前段のジャンプインDCが押した関係で、一人ひとりの語りによる振り返りに切り替えました。それぞれが自分のことばで、熱い胸のうちを語ってくれました。音を共有するだけでなく、各人が感じたことをことばや文字で共有することは五感をフルに使う上でとても重要なことで、この振り返りの時間がドラキャンの感動をより深い味わいのあるものにしてくれたと思います。
今回、すばらしいドラムキャンプにしてくれた知的障がい者による音楽団体カーニバルさんの貢献は計り知れないものがありましたが、それとは別に、昨年も九州度ドラキャンに参加された盲導犬Aさんをつれた全盲の参加者Kさんの振り返りでの最後の言葉が、ドラキャンの大きな意義を語ってくれたと思います。
「・・・・と思いました。最後に、さりげなく、(目の見えない)僕に優しく声をかけてくれた皆さん、ありがとうございました。」
ドラキャンは、そういう意識をはぐくむ場でもあるんだなぁ、と胸が熱くなりました。
(休憩)
15:00 ファイナルドラムサークル(ファシリテーター:石川さん)
なんの予兆も無くいきなりパレードになり、カーニバルのサポーターOさんと東京からの一般参加者Pさんがアドリブで九州ドラキャン音頭を歌いだし、ボクもソプラノサックスでその節に合わせ、一気にお祭りDCになりました。「まったおいで~♪まったおいで~♪九州ドラキャンへまったおいで~♪」
その最高潮の盛り上がりの中で、2日間にわたる最高のベストファシリテーションが行われるのを見ました。石川さんがカーニバル代表のKさんにそっと耳打ちしたのです。お祭りDCがクローズすると、センターにはカーニバルの皆さんが全員勢ぞろいし、日ごろ練習している歌をうたいはじめました。
これには参加者全員、鳥肌が実りました。そのカーニバルの皆さんのうたに合わせて全員で太鼓を叩き、感動、感動、感動、そして笑顔と涙。最後は参加者全員で、手をつないで輪になってありがとう三唱。ジワ~っとこみ上げてくるものを感じました。
知的障がい者8名とそのサポーターによるカーニバルさんの参加により、ドラムサークルが障がい者と健常者が一緒になってエンパワーメント(同調化)できるものであることを実感、しかも障がい者の持つハードルを健常者が一切ハードルと感じることなく一緒に2日間楽しめたことからも、ドラムサークルがいろんな問題を解決する強力なパワーを持っていること、確信しました。
15:50 記念撮影
16:00 解散
片付け
参加者の皆さんはもちろん、関係された皆々様、ありがとうございました。
来年の第3回九州ドラキャンは、福岡か宮崎かで行われる予定です。
熱い熱い九州ドラキャンへ、みんなおいで~♪
17:00 移動
19:30 石川さん及び東京からの参加者2名と鹿児島スタッフで打上げ
きびなご、カンパチ、うなぎ、黒豚、おでん@うげつ
豚とろラーメン
立飲み処SAO
23:30 解散
おつかれさまでした。
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コメント
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Hi,
Do you know any Drum Circle in Osaka?
大阪のドラム円を知っているか。
Regards,
Gordon
投稿: Gordon | 2008.10.06 11:00 午後
補足です。
今回の参加者全員にファシリテーションキューをやってもらったことについてです。
ドラキャンの中でも一部、補足説明いたしましたが、ドラムサークルはファシリテーターがコントロールするものではなく、あくまで参加者の意思(もしくは期待)によって流れていくものと考えています。よってファシリテーターは、その流れが脱線することなく参加者の意図(期待)する方向にうまく流れていくよう、その流れに手を添えてあげることを行うものだと思います。
そのひとつがファシリテーションキューにより実現するものであればと考えます。
なので実際のDCの場では、センターインするのも、どのファシリテーションキューを使うかもファシリテーターの意思によるものではなく、おおくの参加者によるDCのそのときの状態に導かれて出てくるところとなります。そのためにファシリテーターはセンターインしなくてはならないタイミング(トランジションポイント)を読み取り、どのようなファシリテーションキューによりDCを参加者の期待する方向に流れを汲んでいくのが最適か判断する訓練が必要になります。
今回のドラキャンは、完全なファシリテータートレーニングの場ではなく、参加者によるファシリテーションキュー実践がはじまったときには、いつでもセンターインしてキューを出してもいいと勘違いされることを私は恐れ、不安でした。その認識のまま他のDCの場でセンターインされたらDCもセンターインした人も不幸なことになることが目に見えるからです。
しかしメインファシリテーターの石川さんによるファシリティブな流れはその場に一貫していて、障がいを持つ方々と一緒にDCを通じて2日間を共にする(逆もしかり)ことで、自分は人のために何ができるか?というファシリテーショナルな気持ちの芽吹き(さりげない声かけや手助けなど)と共にファシリテーションキューの実践もあった流れだったので、ありのままを受け入れ、その場で当コメントに類する内容を補足説明させてもらいました。
そういう意味で今回のドラキャンは、ファシリテータートレーニングの場ではなくとも、DCのひとつの理想であるセルフファシリテーション及びfor othersの精神(みんなのために、もしくはその人のために今自分は何をすべきか?)をみんなひとりひとりが感じ、実践する場でもあった気がします。
実際のDCファシリテータートレーニングの場は、近代DCの父といわれるアーサー・ハルさんによるプレイショップ(毎年秋開催)や、DCFA(ドラムサークルファシリテーター協会)によるドラムキャンプ(毎年5月開催)などがありますが、日常生活の中にもたくさんファシリテーション実践の場はあること、あらためて今回の九州ドラキャンでたくさん気付かされました。
そして、DCやればやるほど気持ちが優しくなるのも、ほんと不思議でありがたいことです。
投稿: 森田孝一郎 | 2008.03.29 09:33 午前